1月1日夕方に発生した石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震を受け、医薬品卸の拠点で天井崩落や建屋の一部損壊、商品の落下などの被害が出ている。各社とも営業開始日に向け正月返上で復旧作業を進めている。日刊薬業が卸各社などに取材し、2日夕方時点までの状況を調べた。取材した企業では、現時点では人的被害の報告はないという。
●災害対策本部設置の動きも
メディパルホールディングス(HD)によると、子会社メディセオの七尾支店(石川県七尾市)で天井の一部が落下し断線により一部の建屋内で停電となった。商品棚から一部商品の落下もあった。水漏れにより断水状態で、天井を直し建屋を継続して利用できるか現在調査中だ。
新潟県と富山県の拠点も商品棚から一部商品が落下。メディセオは1日夕方に本社に災害対策本部を立ち上げ各拠点のバックアップに回っている。
石川県など北陸地方に多くの拠点を持つバイタルケーエスケー・HDの持分法適用会社の医薬品卸ファイネス(本社=金沢市)は一部の建屋にひび割れがあり、揺れで商品が棚から落下した。現在復旧作業を進めており、予定している4日の営業開始に間に合わせるべく体制を整えている。
バイタルHDによると、子会社バイタルネットの新潟物流センター(新潟市)でも一部建屋のひび割れや商品の落下があったという。
スズケンは、配送センターや事業所の建屋に大きな被害はなかったが、一部事業所で医薬品の落下や断水が生じた。4日の営業開始に向け医薬品の補充を進めるとともに、断水があった事業所に水や給水用のポリタンクが届くよう手配している。
東邦HDもグループ会社の北陸東邦(本社=富山市)で断水や扉が閉まらないといった報告はあるものの、大きな被害の情報はない。商品棚の落下防止テープが奏功し、医薬品の落下は一部に留まっているという。
アルフレッサHDは各施設ともに停電は免れ医薬品の温度管理にも問題は出ていない。倉庫内で商品の落下があったが、4日の営業開始に向け復旧作業を進めている。
●日医工「被害状況を確認中」
富山県内に工場、拠点を持つ日医工も日刊薬業の取材に応じ、1日の被災時に会社、工場とも休みで人的被害の報告は現時点でなく、被害状況を確認中だ。本社業務は4日から、工場は9日から稼働するため準備を進めているとした。
●厚労省「現時点では報告なし、引き続き情報収集」
厚生労働省は2日正午、記者団の取材に対し、製薬企業、卸の被災状況について「現時点では医薬品関係の被害状況は報告として上がってきている状況ではない。ただまだ上がってきていない可能性は十分にあり、引き続き情報収集に努めていく」とコメントした。
政府が石川県に非常災害現地対策本部を設置したため厚労省から2日時点で5、6人を現地に派遣する方針も明らかにした。(海老沢 岳、加藤 祐樹)