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能登地震、震災関連死防止が喫緊の課題  石川県医・橋本理事、JMAT拡大で対応へ【無料公開】

2024/1/8 20:20

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取材に応じた石川県医師会の橋本理事

 石川県医師会の橋本英樹理事は8日、金沢市内で日刊薬業の取材に応じ、能登半島地震の避難所で感染症などに罹患し亡くなる震災関連死を防ぐため、日本医師会と連携し、日医災害医療チーム(JMAT)を増やす計画を明らかにした。現在(8日時点)は8隊だが、今週中に20隊、来週には30隊に拡大させる。最終的には40隊まで増やす予定だ。 橋本氏は「現在は比較的被災者の健康状態はいいが、避難所生活が長期化すれば震災関連死は増える可能性がある」と述べ、今後は避難所での健康管理が重要になってくると強調した。

 東日本大震災では、避難生活などによる震災関連死(全国)は発災7日目までは472人だったが、8日目以降1カ月以内に746人に増加。発災から1週間がたった能登半島地震でも今後震災関連死の防止が喫緊の課題となる。

 全国の病院勤務医などで組織される災害派遣医療チーム(DMAT)は石川県内の総合病院や診療所の応援、介護施設の巡回などを行っている。

●避難所で健康チェック、感染症予防の助言も

 一方、日医の会員医師からなるJMATは避難所を中心に活動している。石川県内でJMATが1月3日に発足。橋本氏が率いる1隊が七尾市の能登総合病院で準備作業に入り、その後県外の隊も加わり5日から穴水町で避難所を回る実質的な活動を始めた。
 
 橋本氏によると、7日までに穴水町内の約60カ所の全避難所(うち公式避難所は43カ所)の巡回が完了した。町役場職員も被災しているため全ての避難所には職員の目が届いておらず、7日に入った隊はDMATの姿は見かけなかったという。このためJMATの医師らが避難者の健康チェックを行い、震災関連死防止の観点から感染症を予防するための手指消毒のポイントやエコノミークラス症候群(静脈血栓症・肺塞栓症)を避けるための体の動かし方なども助言している。

 8日は、沖縄県の1隊が石川県庁に詰め、石川県医と共に全国からのJMATの受け入れ調整を行ったほか、愛知県の1隊が能登総合病院で同日どの隊がどの避難所に入るかの割り振りを行った。
 
 また、石川県の2隊と、福岡県の1隊、沖縄県の別の1隊、栃木県の1隊、新潟県の1隊の計6隊が穴水町の避難所を回った。

 穴水町の避難者からは一部新型コロナウイルス感染症の患者も出ているが、比較的健康状態は良好で、今後震災関連死が出ないよう注意しているという。

 隊の増加に合わせ、今週中に志賀町と輪島市、珠洲市にも徐々に活動範囲を拡大していく。

●奥能登の診療所、震災の影響が心配

 橋本氏は、避難所での震災関連死と共に、輪島市や珠洲市など奥能登で開業している診療所の被災状況や再開の見通しも気にかけている。
 
 奥能登の郡市区医師会の中には未だに県医師会と連絡が取れていない医師会があり、県医師会は被災状況の詳細を把握できていない。

 当面JMATが地域医療を支えるものの、橋本氏は「医師の高齢化により輪島、珠洲では1、2年でぽつりぽつりと閉院される先生がおり、新規に診療所を立ち上げる動きもない。そのため診療所への震災の影響を心配している」と述べた。(海老沢 岳)

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