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九州豪雨、人吉市以外でも卸の一部に被害  予断は許さず

2020/7/7 23:31

 豪雨の被害に見舞われた九州地方で、熊本県人吉市以外の地域でも医薬品卸の一部に床下浸水などの被害が発生していることが7日、日刊薬業の調べで分かった。それら地域では現時点で大半の卸の各拠点には大きな物的被害はなく、人的被害も発生していない状況にあるとみられるが、広範囲で豪雨や河川の増水などが続いており、依然として予断を許さない状況が続いている。

●翔薬、大牟田支店で床下浸水
 
 スズケンの子会社で、九州地方をエリアとする医薬品卸の翔薬では7日午前、大牟田支店(福岡県大牟田市)と日田支店(大分県日田市)の従業員に自宅待機を指示。日田支店はすでに営業再開しているが、大牟田支店の一部では床下浸水の被害が発生したという。午後以降に浸水が解消したため、社員が事務所内の医薬品の被害状況や車両の被害などを調べたところ、営業を再開できることが確認された。得意先への配送業務は市内各地で発生している冠水が解消されれば、早急に再開できる状態にある。同支店管内で冠水していない地域の得意先に対しては、福岡県広川町にある同社の物流センターから直接配送している。

 九州の各地域の配送体制は、同センターから各支店への配送を減便する対応を取っている。得意先への配送については、各地の道路の状況により配送が一部遅れている状況にある。スズケングループ各社では、今のところ豪雨による人的被害は発生していない。

●鹿児島や福岡で卸の拠点に被害

 厚生労働省によると、これまでに鹿児島県や福岡県の卸の拠点で雨漏りなどの被害が数件発生している。企業名などは明らかにしていないが、医薬品の供給に大きな支障はないとの報告を受けているという。

 九州の卸、アステムの日田支店では、行政から避難指示が発令されたため、7日午前中に従業員を帰宅させる対応を取ったが、支店の物的被害は発生していないという。富田薬品をはじめ、メディパルホールディングス(HD)やアルフレッサHD、東邦HDの医薬品卸売事業会社についても、人的被害や物的被害は発生していないという。
 
●現時点で製薬への影響なし
 
 佐賀県鳥栖市に本社や工場、研究所がある久光製薬、熊本県北部の熊本市や隣接する菊池市などに本社や工場、研究所があるKMバイオロジクス、熊本県中部の宇土市に工場がある三和化学研究所は、いずれも製造への影響や人的物的被害は出ていないとしている。

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