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熊本豪雨の被害、アトル・富田薬品担当者に聞く  応援部隊を動員し医薬品供給を確保

2020/7/9 00:49

 熊本県南部での豪雨による球磨川の氾濫で被災したメディパルホールディングスの子会社アトルと富田薬品の担当者が8日、被災現場の熊本県人吉市でそれぞれ日刊薬業の取材に応じた。被害の程度は異なるが両社ともに応援部隊を動員することで医療機関、薬局への医薬品の供給を途絶えることなく続けている。

0708_支店の後片付けをするアトルの蘒原営業部長_s.jpg

 人吉支店で取材に応じたアトルのはぎ原忠(はぎはくさかんむりにのぎへんに亀)熊本営業部長(52)。出社した部下から4日土曜日の午前8時に支店浸水の連絡を受け本社と対応を協議した。

 協議の結果、アトルは支店が機能不全で使えなくなることを見越して鹿児島県霧島市にある物流センター「南九州ALC」から直接人吉市内などの得意先に配送する方針を早々と決め準備に取り掛かった。

 1メートルの床上浸水の被害は大きく、支店内ではOA機器が倒れ保冷庫も水に漬かった。5日日曜日には渡辺紳二郎社長を筆頭に25人が福岡県や熊本県内から支店に駆け付け片付けを行い、6日月曜日に南九州ALCからの直送を始めることができた。

 ただ、はぎ原部長には懸念事項があった。ALCから人吉市内まで九州自動車道で1時間の距離だが、被災直後は高速道路が通行止めで使えなかった。下道だと2時間半かかる。
 
 幸いにも熊本県医薬品卸業協会の働き掛けで県からアトルに緊急車両指定が下りたため、九州自動車道を使えるようになった。はぎ原部長は「通行止めでも緊急車両指定扱いで通れるようになりほっとした」と語った。
 

0708_浸水2メートルの場所を指す富田薬品の松岡所長_s.jpg

 富田薬品人吉営業所の松岡正弘所長(52)も営業所で取材に応じた。営業所は球磨川に近く4日に2メートルの高さまで水に漬かったが、球磨川で過去に水害があった教訓を踏まえ7年前に営業所を高床式倉庫のように、1階を駐車場スペース、2階事務所兼医薬品倉庫としていたため、店舗への直接的な被害は免れた。松岡所長は「結果的に2階部分まで水が来なくて被害を最小限に抑えることができた」と説明した。

 また、4日5時半に社員が出社し氾濫前に営業車を2階に移動することができた。5日には富田久雄副社長のほか他の支店から35人が応援に入り1階駐車場の厚さ40センチの堆積物をかき出して6日午後から通常通りに配送できるようにした。

 松岡所長が今懸念しているのは得意先の被災状況だ。「市内では開いている薬局が13カ所しかなく、被災し診察できない医療機関もある。必要な物資を届けるなど得意先が困っていることに少しでもお手伝いしていきたい」と述べた。

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【おことわり】 アトルの熊本営業部長の氏名に表記できない文字が含まれていたため、修正しました。
(2020/7/9  20:33) 

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